歯の矯正にかかる費用や時間、注意することって何?(1)医院の選び方

健常な方の場合、歯列矯正は自由診療となりますから費用は医院によりまちまちです。金額の違いも気になる問題ですが、その医院はどのような体制で診療を行っているかも気にするべきかもしれません。

矯正治療を行うにあたっては、スタンダードな方法では頭のレントゲン写真(セファロ といわれることがある、規格写真)、パノラマX線写真、歯型、顔貌写真、口腔内写真を揃え、これらから現在の問題がどこに由来し、どのようなアプローチをすればいいのか検討します。それから異常に即した治療器具を選択し、患者さんに説明して治療にあたっていきます。当院はこの基本を外さないで治療をしています。

数年前、頭のレントゲン写真を撮らないで治療をしていた医院と患者さんの間でトラブルがあった、という記事を歯科医師の情報誌で読んだことがあります。

一言で出っ歯、受け口といっても、顎の骨の前後関係がおかしいのか、歯の傾きがおかしいのかで治療方法は異なりますから、頭の骨のレントゲンを撮るのは必須だと私は考えています。

また、二次元に情報を落としたレントゲンでは見落としてしまう異常もあるため、当院を開院するにあたってはCTを購入しました(結構痛い出費でした 苦笑)。

地方の医院で長く非常勤で治療をしていたとき、歯のもとである歯胚の位置異常や骨の異常を度々経験し、そのたびにCT撮影のための依頼状を書き、患者さんには別の医院に足を運んでいただく、という状態があり、CTの必要性を強く感じていたからです。お子さんでは被曝も配慮したい、と思っていたので被曝量が少ないメーカーを選びました(これも流通している中で最高値でした 泣)。当院で使用しているCTは立体画像をもとに、規格X線写真を構築し直すことができ、矯正医の中では人気の機種なのです。

規格写真においては、今までに多くの情報が蓄積されているという強みがありますから、正常な噛み合わせをもつ方の状態と比べて、どこに異常があるのか抽出することが可能です。また、CTは立体情報に強みがありますからレントゲンよりも多くの情報を得ることができます。

医院の選択にあたっては診てくれるドクターがいつもいるのか、非常勤かも考慮していただきたいと思います。

私事で恐縮ですが非常勤生活が長い中で最も心苦しかったのは「先生は決まった日にしかいないのが気になる」と言われることでした。矯正ではさまざまな器具をもちいて治療をするのですが、器具のトラブルも案外に多く、その際には他のドクターが対応してくださっていました。旅先でも他の勤務先でも、問い合わせにはすぐ対応しておりましたが、遠隔操作の限界を感じることも多くありました。それが開業のきっかけでもあったわけですが。

余談が長くなりました。同じ矯正といっても診断・検査・分析にどれだけ力を入れているか、医院の体制がどうなのか。金額だけでは推し量れない背景があることをご理解いただけたかと思います。

治療にかかる時間については次にご説明いたしますね。

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歯の矯正にかかる時間

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