矯正治療後に使われる保定装置(リテーナー)について

矯正治療が終わってから使う装置は、一般に保定装置(リテーナー)とよばれます。

歯が動く仕組みについては日を改めてお話ししますが、動いたものはまた動く可能性があるので、安定するまでは油断がならず、ある程度止めておく必要があるのです。

保定装置には取り外しの装置(可撤式)と取り外しができない装置(永久保定 fixリテーナー)があります。

▼取り外しの装置(可撤式)
fixリテイナー

当院ではリテーナーの色が選べます。さらにご希望の方には「ラメ」や「名前」を入れることもできます(笑)。取り外しの装置には写真でお示しした針金とプラスチックでできたものの他に透明なマウスピースタイプのものもあります。永久保定は前歯の裏側に針金を接着するもの不正咬合のタイプによっては適用することがあります。

可撤式リテーナーの使用期間は2年。お食事と歯磨きの時以外はずっとつけていただきます。「やっと治療が終わったのに!」と思われるかもしれませんが、今までの努力を無駄にしないために、もうひと頑張りとお考えください。実際、開放感からか?全く使用してくれない方が数年に一度いらっしゃいます。「動いてきちゃった、どうしよう」と再来院されて拝見すると・・最初の3ヶ月が肝心!という先輩から聞いた言葉が脳裏をよぎります。せっかく綺麗になった歯並びが、乱れてきてしまうのです。

「どうする、装置つけないと治せないよ。もう一度つける?」

「え・・やだ」

ここで私と親御さんが頭を抱える、という経験があります。

なお、「2年が経過しても、捨てないでとっておいてね。ちょっと変だな、と思ったら夜はめて寝てね。」とお伝えしています。加齢に伴って歯根周囲の骨が下がってきますから、下の前歯は特に乱れが出やすいのです。

多くの患者さんを比較するとやはり長く使っていらっしゃる方、歯医者さんに定期検診されている方は術後の安定が良いようです。

可撤式リテーナーの管理は、拡大床と同様で
 ・流水下で歯ブラシで洗う(歯磨き粉はつけない)
 ・ときどき洗浄剤につける(院内でも販売しています)
 ・ケースを必ず持ち歩いて、外したらケースにしまう
といったところです。

そう言っても必ず毎年失くされます。レストランで外して紙にくるんでいたら捨てられた、が最多です。義歯もそうらしいのですが、ゴミ箱の底に落ちてしまうようで漁ってもなかなか出てきません。

リテーナーは確かに煩わしく、大変かもしれません。ですが、自分のための前向きな頑張りだと思っていただけたらいいなと思っております。