矯正治療中気を付けて欲しいこと (1)拡大床などの取り外しができる装置

顎を広げるための拡大床装置は幼児期から小学校低学年でよく使います。取り外しができるので、トラブルが発生した時は外しておける気楽さがありますが、伴ってのデメリットもあります。


治療後に使用するリテーナー(保定装置)
永久歯に生え変わる前なので横の歯は乳歯です


右上の前から二番目の歯を外側に押し出すバネがついています

 

患者さんが協力してくれないと、全く効果がない

当たり前なのですが、ときどき遭遇するトラブルです。
お子さまの治療では、親御さんはやる気があっても本人は前向きでないことがしばしばあります。すると使ってもらえず、効かない。来院のたびに私と親御さんがステレオ状態で怒ることになり、本人はますますやる気をなくす、という悪循環になります。
だから当院では治療の前に、本当にできますか?合意形成はできましたか?と伺い、双方に温度差があるときには、治療をスタートしないこともあります。

細かいコントロールはできない

歯の角度を細かく直す、といったことはできません。拡大床で大体スペースは獲得できたけど、ピシッとは並んでないな、治したいな、というときには歯に直接装置をつける方法(マルチブラケット装置 俗に言うワイヤー矯正)の方が効果が上がります。

なくす、壊すというトラブルが結構ある

管理するのがお子さんですし、就眠中に使うということもあって、見つからなくなったり、踏んでしまったり、トラブルはあります。昼も使うものだと飲食店でちょっと置いておいて捨てられる(紙に包んだりするので)トラブルは毎年のようにあります。大人だって身の回りのものをなくすことはありますものね。目の前で親御さんからきっつく怒られるお子さんが毎年いらっしゃいますが、私も失せものが多いうっかりなところがあるので、複雑な気分になります。そうそう、匂いがつくからか?飼い犬が持ち出したり、興味をもったのか?小さな弟や妹が持ち出しておもちゃ箱から発見されたり・・いろいろあります。

結構汚れる

固定式の装置(歯科医でないと外せない装置 例えばマルチブラケット装置 俗に言うワイヤー矯正)は嫌だから取り外しがいい!とリクエストをいただくことがありますが、取り外しもそんなに気楽じゃありません。ちゃんと管理しないと匂いや歯石がついてきます。
流水の下でよく洗い、ときどき入れ歯洗浄剤に漬けてね、とお願いしています。付着した汚れを餌に細菌が繁殖するから消毒の意味もありますし、構造として匂いもつきやすいのです。ドラッグストアで若いのに入れ歯?と思われたくない方は、院内でこそっと買ってもいいですよ(笑)

次回は固定式装置のデメリットと注意について書きますね。