暑さはだいぶやわらいで秋の訪れも近くなってきましたが、今年も日本各地区では35度を超える猛暑日が連日続きました。
気象庁によると2018年8月25日時点、歴代全国高温ランキングTOP10のうち、実に5つが2018年の7月もしくは8月に記録されているのです。
高温になると毎日ニュースでは「熱中症対策には早めの水分補給が大切です」と繰り返し注意喚起がされます。そして熱中症対策に特に有効だとされるのが「スポーツドリンク」です。
しかしこのスポーツドリンク、あまり飲みすぎると歯の表面が溶ける「酸蝕症(さんしょくしょう)」という症状を発症してしまうことをご存知でしたか?
酸蝕症とは?
食べ物や飲み物に含まれる「酸」ににょって、歯の表面のエナメル質が溶けたり欠けたりすることで、虫歯や知覚過敏などが起きやすくなる症状です。
酸蝕症の症状
酸蝕症の症状のうち最も分かりやすいのは、「歯の先端が透明になってくる」という症状です。硬度(歯の固さ)が低下し、もろい状態になってしまいます。
それ以外にも、冷たいものがしみる知覚過敏や、詰め物が取れやすくなる、といった症状が出てきます。
酸蝕症の原因~酸性の強い飲み物
酸蝕症の原因は、酸性の強い食べ物や飲み物を日常的に多量に摂取することです。
以下は東京都福祉保健局のホームページで公表されている市販飲料のph(ペーハー)値です。
ph(ペーハー)とは、酸性の強さを表す単位で、phが低いほど酸度が強いことを意味しており、中性はph7.0です。
- 炭酸飲料 2.7~3.4
- 果汁飲料 2.9~4.1
- スポーツドリンク 3.2~3.7
- 乳酸菌飲料 3.4~3.7
- 麦茶6.7
- 緑茶6.8
- 牛乳6.7
酸蝕症の予防
酸蝕症の予防は、酸の強い飲料や食料の摂取を控えることが大切です。
酸性の強いものを口にした後は、麦茶や緑茶、牛乳など中性飲料を飲むこともオススメです。
また唾液に含まれるカルシウムとリン酸が歯を「再石灰化」することが分かっています。食べ物を食べるときはよく噛んで食べることが大切です。
また意外に思うかも知れませんが、食後すぐの歯磨きは、この「再石灰化」を妨げると考えられています。
食後は唾液中の酸を中和するイオンが増え、自然と再石灰化が促進され、食後30分後には食前と同レベルのph値まで低下することが分かっています。
酸度の強い飲食を行った場合は、食後30分後くらいに歯磨きを行ったほうが、再石灰化がより期待できるのです。
特に小さいお子さまの熱中症対策ではスポーツドリンクが人気ですが、歯のことだけを考えれば、麦茶や緑茶、牛乳のほうが安心、ということがお分かりいただけましたでしょうか?
「熱中症」対策の飲み物を選ぶ際は、是非「酸蝕症」のことも考えてみてください。