矯正治療は歯に力をかけ、歯槽骨の改造現象を引き起こすことによって歯を移動させる治療です。骨の改造、代謝は急速におこるものではありませんから、時間を要することは自明です。
相談に見える患者さん、親御さんも経験者の方から聞いているのか「どのぐらい時間がかかりますか?」という質問はよく伺います。
乳歯〜混合歯列期(乳歯から永久歯への交換が起きている時期)の場合、「まあ2、3年ですね」と答えることが多いのですが、もっとかかってしまうこともあります。
時間がかかる原因として
- 治療に対する反応に個体差がある(予測できない)
- 治療への協力の度合い(装置をちゃんと使ってくれるか、約束を守れるか)に個人差がある
- 永久歯への生え変わりが早い子、遅い子がいる
- 歯列不正の度合いが大きいと、永久歯での治療も必須になるのでさらに期間が加わってしまう(ある程度予測可能)
などがあります。
時間がかかると「いつまでかかるんだ?」と不安になるかと思います。我慢できる限度にも個人差があります。
そのせいか「今は何もしないで、永久歯からの治療ではだめですか?」という質問を受けることがあります。
これも一長一短です。期間的には早期治療と同様なので、時間は確実に短くなり、短期決戦にも見えるのですがデメリットとして
- 成長を味方につける、混合歯列から介入した方がいい歯列不正の場合はおすすめできない
- 介入していない分、歯列不正の度合いが強い(治療の困難度が高くなる)
- 抜歯してスペースをつくる、という治療の可能性が高くなる
- 治療の時期が小学校の高学年から中高生で、本人の協力にさらに個人差が出る(受験、課外活動で忙しくなることも含めて)
などが挙げられます。
予測不能な要因は多いのですが、拝見してある程度の予測がつくこともあります。気になりましたらご相談いただければと思います。
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