口を大きく開けると顎が痛い、食事もしにくい、といった症状がある場合、「顎関節症(がくかんせつしょう)」の可能性が疑われます。
さらに歯科学的に専門的に定義すると、以下いずれか1つ以上に該当する場合、「顎関節症」と診断される可能性があります。
(1)耳の前あたりの顎関節が痛む
(2)顎を動かす筋肉(咀嚼筋)が痛む
(3)顎を動かす度に「カックン」「ジャリジャリ」といった音がする
(4)顎の運動に異常がある
顎関節症の原因
以前は「歯の噛み合わせ」や「ケガなどによる外傷」が主な要因である、と考えられていましたが、最近の研究では歯や顎の構造的な問題だけでなく、以下のような様々な要因が影響すると考えられるようになってきました。
(1)スポーツによる過剰な噛みしめ
(2)食事以外で食いしばる癖がある(歯列接触癖/TCH)
(3)精神的ストレス
歯列接触癖(TCH)とは?
通常人間の上下の歯列の間には1~3㎜ほどの隙間があります。上下の歯が接触するのは「物をかむ時」と「飲み込む時」だけですが、それ以外にも上下の歯を接触させてしまう癖を「歯列接触癖(Tooth Contact Habit/通称TCH)」といいます。この癖がある方は、顎関節症を発症しやすいと考えられています。
顎関節症の対策
顎関節症は時間の経過とともに症状が軽減する病気と考えられているため、手術などの外科的治療を行うことはなく、一般的にはマウスピースを使った治療(スプリント療法)が行われます。
マウスピースは夜間、睡眠中に装着することで、無意識のうちに力が加わってしまう顎関節や咀嚼筋への負担を軽減することが目的として使われます。
顎関節の症状があまりにも長引く場合には、耳や鼻など近い器官の疾患も疑う必要が出てきますので、専門医への診察もお勧めしています。
何かとストレスが多い時代ですから、知らず知らずのうちに顎への負担が増えているかも知れません。日常的に食いしばる力が強い人は是非これを機会に生活習慣を見直してみてください。