■知られざる「唾液」の謎
みなさんの口を潤す唾液。
多くの人が唾液は「汚いもの」という悪いイメージをもっているかと思いますが、実は唾液は口の中だけでなく、人間の体にも大切な役割を担っているということをご存知でしたでしょうか。
今回はそんな知られざる唾液の「謎」と「役割」について触れていきます。
■唾液は血液からできていた!?
無色透明な唾液…多くの人は「唾液は水からできている」とお考えでしょう。
でも実は違うんです。
唾液は何と「血液」からできているのです。
体内に取り込まれた水分は、胸骨や肋骨などにある骨髄で血液となります。
そして唾液腺に運ばれた血液の一部が唾液となるのです。
唾液腺は、耳の下にある「耳下腺」、顎の下にある「顎下腺」、舌の下にある「舌下腺」の3つが三大唾液腺と呼ばれ、特に多くのの唾液を作っています。
1日に生成される唾液の量は、何と1~1.5リットルもあるんです。
■唾液の役割とは?
血液を介しているとはいえ、唾液の成分の99%は「水」です。
では普通の水分と同じなのか、というとそうではありません。
唾液の凄い力は、水以外の1%に隠されているのです。
この1%には様々な成分が含まれており、それらの成分が唾液の大切な役割を担っているのです。
▼リン酸、カルシウム
酸で溶けた歯を補修する役割
▼アミラーゼ
食物を消化する役割
▼ムチン
口の中を潤したり、粘膜を保護する役割
その他にも様々な成分によって、唾液は作られているのです。
■最新医療でわかった唾液のスーパーパワー
最近の医療では、唾液に含まれる「IgA(免疫グロブリンA)」が及ぼす免疫への作用が大変注目されています。
IgAは、体を細胞やウィルスから守る抗体の一種で、風邪やインフルエンザを予防する働きがあります。
IgAの働きは、疲労やストレスで低下すると考えられており、IgAの質が体の免疫力に大きな影響を与えていると考えられているのです。
ではIgAの質を高く保つにはどうすればよいか?
それは食生活と深く関わっており、腸内環境を改善する「乳製品」「きのこ類」食物繊維が豊富な「ニラ」や「ネギ」などがIgAを増やすと考えられています
風邪が流行する冬に「ネギ」たっぷりの鍋料理を食べるのは、免疫力アップにとても良い、という訳です。
さらに最近の研究では、飲み込まれた唾液の成分の一部は血液に戻り、再び全身をめぐることが分かっています。
成長因子のBDNF(脳由来神経栄養因子)やラクトフェリンは、唾液から再吸収された血液が脳に行き、神経細胞の保護に役立っているとも考えられているのです。
唾液のスーパーパワーは、これからの研究でさらに明かされていくかもしれませんね。
————————————
住吉ミモザ歯科・矯正歯科
院長 田仲 眞理