フッ素は本当に虫歯に効果的なのか?
結論から言うと、フッ素は虫歯予防に効果的です。
フッ素が歯に作用すると、歯質は「フルオロアパタイト」という安定した結晶構造を持つようになり、酸に強い歯になります。また虫歯菌の出す酵素によって酸が作られるのを防ぎ、フッ素自身も抗菌作用を示します。さらには唾液中のカルシウムやリン酸を歯に付着させる働きがあり、これにより初期の虫歯の進行を止める作用があります。
特に乳歯や生えたばかりの永久歯は弱く虫歯になりやすいため、この時期のフッ素の活用は非常に有効であると考えられています。
海外では水道水にフッ素が入っている?
そんな有効なフッ素ですが、世界の多くの国々では、何と水道水にフッ素が入っているのをご存知でしたでしょうか?
水道水にフッ素を添加することを「フロリデーション」と呼び、この歴史は1945年のアメリカにさかのぼります。
虫歯予防のために人工的にフッ素が添加されている国もあれば、何もしなくても水にフッ素が一定量入っている地域もあります。
日本では現在フロリデーションは行われていませんが、世界的な潮流がさらに強まれば、状況は変わっていくかもしれません。
フッ素の過剰摂取で弊害はないの?
歯にとっては、良いことづくめのフッ素ですが、過剰に摂取すると歯牙フッ素症という病態が生じることがわかっています。
症状としては、歯の表面に褐色の斑点が出ること。土壌中のフッ素量がとても多い地域でみつかりました。日本で普通に生活していて起こることはありません。
またフッ素を一度に過剰摂取すると急性中毒を引き起こしますが、これも日常起きることはあり得ません。過剰摂取の目安は体重1kgあたり2mgです。
例えば4歳16kgの子どもの場合、1回に使う歯磨き剤と洗口液を全て飲んでしまっても1mg程度です。
通常の歯磨きや歯科治療の中で過剰摂取になることはほとんどありません。
とはいえ、年齢によりうがいが上手にできないなどの要因もありますから、フッ素入り歯磨き剤の使用量としては、以下を目安にしてください。
5歳…フッ素濃度500ppmの歯磨き剤を2mmからはじめて5mm程度まで
6-14歳…フッ素濃度1000ppmの歯磨き剤を1cm程度
15歳以上…フッ素濃度1000-1500ppmの歯磨き剤を2cm程度
虫歯予防の強い味方「フッ素」。あなたの使っている歯磨き剤には入っていますか?